褒める!肯定しかない映画感想(たまに本・ゲームその他)

良かったものをひたすら褒めます。検索して、批判的なレビューに萎えたり、書いた人と意見が合わなくてげんなり…とかじゃない!褒める!称える!喜びを分かち合う!

劇場長編アニメーション映画「クラユカバ」の感想・レビュー

結論、めちゃくちゃ面白かったです。

まず、世界観が最高に魅力的。

次に、演出が最高におしゃれ。

さらに、エンディング曲含め音楽がベストマッチ。

ネットのほかの評価だと、

「結末が分からない」「展開はやすぎてついていくのが」

なんてのもありましたが、自分は全くそう思いませんでした。

むしろ話をきちんとまとめているし

展開もテンポがいいうえに、中身も濃くて大満足でした。

 

世界観ですが、全体的におそらく戦前程度の技術力や文化が基準になっているかと思います。これが、 神田伯山の演技とめちゃくちゃ合っている。

ちょっとカッコつけた古風な言い回しや、普段買わない難しめの単語も、講談師特有の言い回しでびしっと決まってます。

それに加えて、地下世界・走行列車などサイバーパンク感あふれる世界ももちろん魅力的。個人的に、列車から多脚が生えるところがグッとくるポイントでした。

 

演出も、神田伯山の魅力が存分に活かされている。

何かしらの説明セリフも、劇中の誰かが講談しているような風にされていて、演出にもアニメ×講談というこの作品独特な演出がなされている。

独特な色合いもあいまって、ほかで見たことのないこの作品特有の表現が展開されている。話が気に入ろうと気に入らまいと、世界観と表現に触れるためだけでもぜひ見てほしい。

 

ここまで神田伯山をほめてばかりでしたが、ほかのキャラクターもみんな一癖二癖あり魅力的でした!

 

最後に音楽ですが、盛り上がる場面でかかる音楽が最高に良い!

和×サイバーパンクな雰囲気でさらに盛り上げてくれます。

また、エンディング曲も世界観を壊さずに締めくくってくれて、非常に良い。

全部通してサントラが欲しくなるレベルです。

 

ストーリーも、失踪者捜索という序盤から共通したゴールがあり、話がどこを向いて進んでいるかわかりやすいうえに、集中が途切れることなく見れました。

 

全体として大満足。上映時間61分とそれほど長い映画ではないですが、体感120分くらいの濃さがありました。

迷っている人は是非!

クラメルカガリも観てきたのでそちらも感想書きます!(ちなみにどちらも最高。しいて言えばクラユカバのほうがより面白かった)

映画「オッペンハイマー」の感想レビュー アカデミー賞納得の傑作

映画という媒体でしかできない表現だ!

これはいい作品に共通して言えることかもしれない。

小説には小説の、舞台には舞台の、アニメにはアニメの、TVにはTVの

その媒体でないとできない表現というのがある。

 

逆に、これは映画じゃなくても本でもいいな、と思ってしまうということは、原案に魅力はあるけど、媒体としての魅力がないということ。

 

オッペンハイマー”映画”の魅力が存分に詰まっていて、それはスマホでは体験できない劇場を含めての表現であった。

そういった意味で、アカデミー賞を取ってのは大納得。

 

映画にしかできないって何ですか、という質問に対して一番わかりやすいのは音響だと思う。音響で爆風を感じさせられるのは映画(劇場)でしかできない表現だと思う。

爆発するシーンでの音響による爆風体験は、素直に恐ろしかった。

破壊力がじかに伝わってきて、とんでもない兵器を作っているんだというのが、眼だけでなく耳や肌を通じて伝わってきた。

さらに、恐ろしいと感じているオッペンハイマー自身の心も表現しており、手に負えないものを作ってしまった恐怖が乗り移ってくるようだった。

 

3時間越えという長さも、劇場での体験ならではだと思う。

「短い時間の映像作品は軒並み配信サービス系に取られてしまい、劇場作品の差別化のために3時間越えの長作が増えている」なんてネットの記事を読んだことがある。

ただ、長ければ長いほど観客は疲れてしまうし、正直集中の限界もあるl。

それこそRRRは大好きで3回見たが、あの怒涛の展開の連続でも自分は長いなと思った。

そのうえで、オッペンハイマーのすごいところは長さを感じさせなかったところだと思う。今まで見た3時間越えの作品の中で、最も時間を短く感じた作品だった。

核爆弾を作るところなど、結果も落ちも全部知っているのにもかかわらず、目が離せなかった。この、観客を飽きさせない技法のようなものは、おそらく素人の自分では気が付けない要素がたくさんあるんだろうなと思いつつ、あえて挙げるのであれば、これが「伝記もの」であることが理由だと思う。

フィクションの作品であれば、話の仕掛けで観客を魅了する。観客も「次は何が起こるんだろう?」と想像して、それに沿ったり裏切ったりして話が展開していく。

伝記ものを見るときに考えることは、「これが自分だったらどうしただろう」「なんでこの人はこうしたんだろう」ではないだろうか。

そして、オッペンハイマーという題材は、「自分がもし戦争の時代に生きていたら」「生まれた国が違っていたら」自分はどうしていたんだろうことを考えさせられる。

かつ、伝記ものであることを貫いている以上、この問いに対しての答えは提示されない。オッペンハイマー本人が出した答えのようなものは感じ取れるかもしれないが、自分がどう感じるべきなのか、どう整理したらいいのかは提示されない。(提示できるようなものでもないが)

だからこそ、脳の興奮状態が持続して、進めば進むほど、自分がその時代に生きているようで、どんどん答えが出なくなり、3時間では答えの出ない問いにとりむことになる。

 

俳優のすごさであったり、話の構成の妙であったり、評として取り上げればきりがないが、特に自分が感じたのが上記の2つであった。

是非、音響設備の良いところ、そしてなるべく没頭できるような劇場で見ていただけたらと思う。

「落下世界」著ウィル・マッキントッシュ は最高のSF冒険譚 (ネタばれなし)

「目覚めると、世界は虚空に浮かぶ小島になっていた!しかも人々はみな記憶を失い、なぜこうなったのかも、自分自身が何者なのかもわからない。唯一の手掛かりである謎の地図を頼りに、フォーラーは世界の淵から飛び出し、見わたす限りの青空の中を落下していく。」

裏表紙にあるこのあらすじの引き込みが強すぎる!

絶対に面白いやつだ!と迷わず購入しました。

結果大満足。

 

この作品、謎の提示の仕方がうまい。

まず、「なんで世界はこうなった?」というのが主人公も読者の我々も共通して、一番大きくて作品を通して解き明かしていく最も長い謎。

そして、

「落下世界」のフォーラーが主人公の世界と、科学者ピーターの世界が交互に描かれる中で浮かんでくる「この二つの関係性は?」という次に大きな謎。

この2つの謎がきになってきになって読み進めてしまう。

それ以外にも

・地図の意味

・次々現れる登場人物たちの謎

などなど気になることが満載。

 

そして、落下した先にはまた別の世界があり、それぞれに様々な環境・人物たちがいるところも、物語がだれない、常に新鮮な驚きと面白さをくれるこの作品の素晴らしいポイント。

 

文章も翻訳物の海外SFの中でも特に読みやすいので、ぜひ手に取って読んでみてほしい作品です。

大人も「恐竜超伝説2 劇場版ダーウィンが来た!」を見に行こう!

大人も「恐竜超伝説2 劇場版ダーウィンが来た!」を見に行こう!

いろんなワクワクする映画はあるけれども、恐竜映画にしかない魅力って何かって

「現実に居た」ってことなんですよね。

そして、「まだまだ謎がある」ってことです。

 

まず、出てくる恐竜が知らない恐竜ばかり!

今回は超巨大大陸ゴンドワナという、いままでよく取り上げられていた北半球の大陸ではないエリアが舞台になっています。ちらっと登場する恐竜たちも、見た目は似ていても少し違う種類の恐竜たち。それだけでも新鮮です。

加えて、マイプ、プエルタサウルス、バジャダサウルスなど今までフォーカスされなかったり見つかっていなかった恐竜たちに焦点が当てられています。

これだけでも、「こんな生き物が本当にいたんだ!」と恐竜たちを始めてみたときの感動を思い出します。

 

加えて、隕石衝突によって恐竜がどのように絶滅したのか、についてはかつての常識を覆すような学説やそれを証明する化石も見つかっていることが紹介されます。知っている気持で行くといい意味で裏切られるかも?

さらに、映画自体も、一つの学説を支持するのではなく、未来にはまた違う見解がなされているかもと締めくくっています。

まだまだいろんな発見がなされていくんだろうなと期待させる終わり方になっていました。

 

まとめとして、ファンタジーにも、歴史ものにも、SFにもない、恐竜にしかないワクワクを感じることができて、大満足でした!

 

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余談ではありますが、僕の友人に古生物学の博士課程にいた友人がいます。彼の研究や進路、また大学院の同期の話を聞いてきましたが、進路としてはなかなかに厳しい世界のようです。子供たちのあこがれではある一方、国益に直結しない古生物学では研究費の獲得は難しく、また就職先も恐竜にかかわることを行っているところの少なさなど大変なようです。

それでも、幼いころからのあこがれをあきらめず、研究というゴールの見えない果てしない探求にいそしむ彼や彼の仲間たちを尊敬しています。

彼は恐竜ではないものの学芸員として就職し、この春から働き始めます。

またその仕事の話や、仕事の傍ら進める研究の話を聞いてワクワクするのが楽しみです!

映画「ジェヴォーダンの獣」の感想レビュー Bloodborneの元ネタ?

衣装がかっこよすぎる!!とポスターに惹かれ、事前情報ほぼなしで見に行った今作。

衣装・武器等々デザインがかっこよすぎる!!!

それ以上に主人公含め登場人物たちがかっこよすぎる!!!

話も面白れぇ!!!

2時間半をあきさせない演出の豊富さ!!!

結果めっちゃよかったです!!!

 

まず脚本なんですが、無駄がない。

最初はそこまで複雑な本ではないのかな?とおもっていたら、それはただの伏線描写で、後半に行くにつれて話が加速していって、前半の何気ないシーンたちも関係してくる。意外な展開も加わって最後は話がきれいにエンディングへと向かう。

脚本の面白さって色々な種類があるけれど、こういう無駄のないシーン遣いを見ると「上手い!!!」とうならざるを得ない。

意外とこういう「無駄がない」脚本の作品って少ないイメージで、この点だけでも見る価値があると思った。

 

そして、デザイン。

中世のあのロマンあふれる衣装と武器デザインの数々。

タイトルにも書いた通り、FROM SOFTWAREの人気作「Bloodborne」が元ネタにしているであろう作品で、「Bloodborne」が大好きな自分にはドはまり。

あの三角帽子、皮の外套。

敵の雑魚チンピラがかぎ爪上武器を持っているのもいい。

主人公の短剣2刀流はもちろんのこと、

あの仕掛け蛇腹刀!!!

あれが実写映画で見れるとは!!!

 

そしてそして、その中で輝く主人公や魅力的な悪役たち。

どのキャラクターとっても印象的で、キャラ立ちをしており素晴らしい。

映画のキャラ立ちというより、舞台のようなキャラ立ちというべきかもしれない。

個性豊かで派手だけど雰囲気を壊さない。

演じている役の役回りにかかわらずどの役者も好きになるような、みんなに見せ場のあるストーリーがとてもよかった。

 

脚本をとっても

デザインをとっても

役者をとっても

どれも楽しめるとてもいい映画でした!!

 

追記:Bloodborneを感じる要素としては衣装・仕掛け武器・獣ともう一つ、トゲトゲ丸太ブランコ罠がありましたね!

劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の感想レビュー

これぞ劇場版!

メカ爆盛り!!

キャラは全員厨二!!(褒めてる)

平成味あふれるデザインもそのまま!!(褒めてる)

って感じのお祭りムービーでした!!!

 

長い年月を経てようやく劇場版を公開してくれた、ってだけで平成キッズたちはうれしさに舞い上がるんですが、そのうえで

当時の雰囲気をそのままに劇場版にしたっていうのが一番いいところだと思いました。

 

あの頃自分たち子供がはまったのって

・機体が超カッコいい

・爆上がりする演出

・遺伝子操作という時代をとらえたテーマ性

だと思うんですよね。

 

よく当時のTV放送版は、絵の使いまわしが多かったとか、作画が~とかよく言われるけど、子供の時はそんなこと何も気にならなかった。

ただただかっこいいと思ってみていて、ただその中でみんなに刺さるようなメッセージがあって。

 

劇場版の良さも全く一緒。

これに対して、

・作画が~

・設定が~

とか突っ込みようがあるのはわかるけど、そういうことじゃないんよな。

 

子供のころのワクワクをそのまま届けてくれて感謝です!

そう思うと、映画公開に時間をかけたのは正解かもですね。映画

 

 

映画『窓ぎわのトットちゃん』の感想レビュー

一言でいうと、後世に残したい映画作品ってこういう作品のことを言うん映画って思いました。

トモエ學園を舞台に繰り広げられる、子どもたちの物語

その裏で日本が戦争に進んで行く時代の流れ

この2つの要素がそれぞれがとてもとても丁寧に書かれていて、

人とのかかわり方を伝える教育的な物語としてだけでなく

反戦を伝える時代伝記的な物語としてもとても大事な作品だと思った。

↓以下内容に触れます

 

 

 

■ 學園の話の中でとても印象的だったのが、校長先生が女の先生に説教をしているシーン。そこで伝えている内容はもちろん、それを見ていたトットちゃんはなんて感じていたんだろう、と思った。

もしかして、あそこで話を聞いてしまったから、トットちゃんは腕相撲でまさあきちゃんを怒らせてしまったのかなと思った。

先生や大人が「分け隔てなく接する」「自尊心を損なわないように接する」って配慮をするのは、その人が社会的に弱者にであるという認識があるからだと思う。

トットちゃんのやさしさは違っていて、もともとそういった認識がないから、だれに対しても変わらず平等に接することにあると思う。それによってまさあきちゃんは救われたし、楽しい時間を過ごせた。

けど、あの話を聞いて、トットちゃんは「優しくしよう」「配慮をしよう」と思ってしまったんじゃないかな。

まさあきちゃんが救われていたのはそういう優しさじゃなかったから、トットちゃんがあそこで「大人がやるようなやさしさ」を出したことがとっても嫌なんだろうなとおもった。

校長先生はきっと、差や別を覚えてしまった大人ではできないことがあるから、男女も年齢もまぜこぜにして差をなくして、子供たちはなるべく差で人と接するんじゃなくて、人と人の裸の関わり合いを大事にしてほしかったんだと思う。

もちろんこれだけじゃなくて、いろんなエピソードを通して、人とのかかわり方を改めて考えさせられる映画だった。

 

■ 時代を描く部分だと映像としての完成度が素晴らしかった。

時代考証などはだいぶ丁寧に行ったとのことで、日用品から小物まで手が込んでいた。平成生まれの自分になんでそんなことわかるの、っていうと

東京ガスミュージアムで見た、戦前のガス浸透時のトースター

THE ALFEE坂崎幸之助がやっていた、ガラス展

こういったところで展示されていた「当時のもの」が描かれていたから。

平成生まれの自分からすると「あ、博物館で見たやつ」「あ、勉強したやつ」が出てきてた。

ほかにも、戦争に向けて進むにつれて徐々に金属のものが減っていったり、犬がいなくなったり、セリフや感情として語られなくても描かれるものがどんどん変わっていって、小物を見ているだけで面白かったし、同時に怖かった。

登場人物の描き方も、戦争が始まるとラジヲが告げた後の父の手の震えが印象的で、細かな手の震えだったり目線だったり、細かい演技が随所に描かれていて素晴らしかった。

 

もともとの話の素晴らしさだけでなく、映画が媒体としてもとても素晴らしい働きをしていて、作品として総じて完成度が高い、とてもとても良い映画でした。

また個人的には最近亡くなった祖父も同じような時代を生きていたんだなと思って、改めて90年生き抜いた祖父への畏敬の念を感じました。